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歌詞について

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 melodeonが本格的に活動をはじめて、今年で丸4年が経過しました。
この4年の間、僕らはライブや音源づくりをこなす中で、この肌を通してさまざまな経験をしてきました。
そして、その経験に裏打ちされるかたちで、僕らの音楽観やスタイルは少しずつ変化してきています。
そこで、これまでの僕らの軌跡をふり返る意味でも、これからの針路をさぐる意味でも、この辺りで今にいたるまでのmelodeonの音楽観の変遷を総括してみたい気持ちに駆られました。
 
 melodeonのようなアマチュアバンドが、そんなことをする意味があるのか? 
そのような批判の声はもっともだと思います。
しかし、僕は今回の作業には大きく2つの意義があると感じています。
1つは、作品の根底に流れている当時の僕らの音楽観(地)を浮き彫りすることで、作品(図)に対する理解が深まり、より作品を身近に感じとってもらえること。
もう1つは、僕らでさえ正確に把握できていない音楽観の変遷をことばにすることで、新たなステップを踏み出せるかもしれないこと。
何はともあれ、なるべく楽しい連載読み物を心がけるつもりです。
ブログの読者の方にも一緒に悩んだり考えたりしてもらえれば、嬉しい限りです。
 
 第1回目の今回は、歌詞について。
melodeonの活動開始以前から活動初期のころの歌詞観をふり返ってみたいと思います。
この当時の歌詞づくりのキーワードは、「メッセージ性」という一言に尽きると思います。
ちょうど高校生から大学入学直後、まさに青年期ということもあり、自分の考えを世に表現したかったのでしょう。
なるべく分かりやすい言葉で、曖昧な言い回しを避けて、自分が悩んでたどり着いた結論を「メッセージ」として書く。
そのような意図で歌詞を書いていました。
当時書いた歌詞の例を挙げてみましょう。


焦ることなどないとやがて気付き始める
ゆっくりと生きればいい 一度しかない今を

出会うべきものと出会い 知るべきことを知り
為すべきことを為し ゆっくりと生きればいい(『青い季節』より)


 たとえばこの歌詞では、「焦ることなく一つひとつの出来事を大切に生きよう」というメッセージが込められています。
もうこの歳なのに、あれもこれも出来ていない…。
当時18歳の僕は、自分が周囲の波にどんどん置いていかれるような焦燥感を感じていました。
今になってふり返ると「たかだか18歳で何を急いでいるんだろう」と笑えるのですが、リアルタイムの僕は何かに追われている息苦しさに苛まれていました。
そんなある日、ふとした拍子に「焦らなくたっていいじゃないか!」という考えが頭をよぎりました。
電撃でした。
その考えは、天動説の時代に地動説が提唱されたぐらいに、そのときの僕にとって革命的なパラダイム転換でした。
「あれもこれもできていない」という視点からすべての物事を捉えると、世界はものすごく息苦しいものでした。でも、「ゆっくり生きればいいやん」という視点からすべてを眺め直したとき、世界はもっと優しくて豊かな包容力のあるものに感じられました。
そのときの感動を歌詞に込めたのが『青い季節』です。

 こんな風に初期の僕らの曲では、自分が悩みぬいて手にした「メッセージ」を明確に聴き手に伝えることが歌詞の役割になっていました。
そして、ひいては音楽とはそういったメッセージを届ける手段なのだ、という音楽観がそこにはありました。

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by joji_kitamura1 | 2010-06-13 02:05 | 雑記