昔書いたノートより。
* * *
当時、僕は十五歳だった。
中学三年の三月のことで、卒業を控えた時期だった。
二月に行われた私立入試で進学先が決まり、晴れて初めてのギターを買って、必死に練習をしていた。
しかし、ただ手放しにギターを楽しんでいたというわけではなかった。
というのも、僕が第一志望に掲げていた高校は地元の公立高校で、進学先の私立高校は親の希望によって半ば強引に決められた進路だったからだ。
私立高校に合格した際に、親にこう言われた。
「もし公立に行くんだったら、今後一切支援しない」と。
若干十五歳の僕には受け止めきれないほどの重みを持った言葉で、僕は涙を呑みながら、自分の意志を曲げて親の意志に従うことを選んだ。
僕の心の中では、親に見限られることへの恐怖心と、自分の望みを自ら握りつぶした自分に対する自己嫌悪の思いが激しく渦巻いていた。
そんな鬱蒼とした気持ちを抱え込んだまま、僕は中学生活最後の日々を過ごしていた。
ただギターを弾いているわずかな時間だけ、この苦しみからそっと解きほぐされる感じがしていた。
ある日のことである。
学校は短縮授業かなにかで午前中に終わり、昼から友人のM君と買い物に出かけた。
お目当てのものは、当時大好きで毎日聞いていたゆずのギターコード譜。
今にも雨が降りそうなくもり空の下を、何軒か尋ね回った。
歩いている途中で、僕はM君に言った。
「俺は親に復讐するために、親の決めた学校に行く! それで、中退する」と。
親の意志に従ったように見せておいて、しばらくして裏切る―。
当時の僕は、そうすることで自分を傷つけた親を倒すのだという屈折した気持ちを持っていた。
そして、それを友人に話すことで、自分の復讐はいかに正当なものかを他者に承認してもらいたがっていた。
その晩のことである。
あるテレビ番組で、尾崎豊の「卒業」を聞いたのは。
「行儀よくまじめなんて 出来やしなかった
夜の校舎 窓ガラス壊してまわった…
ひとつだけ 解ってたこと
この支配からの 卒業」
はじめての感覚だった。
歌詞の意味がまるで手にとるように分かる気がした。
僕は一年前にも「卒業」を聞いたことがあったが、そのときは何を言いたいのか全く分からなかったこの歌が、今は僕の気持ちのすべてを代弁してくれているように感じた。
僕らを不当に扱おうとする大人たちの支配から自由になろうと戦う尾崎の姿に心からの憧れを抱いた。
僕にはできなかった大人への反抗をうたう尾崎がキラキラ輝いて見えた。
音楽をやりたいと思った。
その日僕は曲がりなりにも、これまでの幼く従順だった自分から卒業した―。
* * *
今読むと顔から火が出そうなくらい恥ずかしい文章だ。
でも、そろそろ時効だから潔く自白してみた。。。
はたして、自分は十五歳のときより成長したのか?
それはこれからの自分次第で決まると思う。
今日、大学卒業します!!
# by joji_kitamura1 | 2010-03-23 00:40 | 雑記